当時のパチンコ店員はほとんどがワケありな人
25年前のパチンコ店。私はまだ大学生で先輩に誘われアルバイトとしてパチンコ店で働きだした。アルバイトは全員大学生。正社員の平均年齢は40歳くらい。
ほとんどの社員の人は方言がバラバラで地元の人でないのは明らかだった。夫婦で働いている人もいた。
アルバイトを始めて最初に主任に言われたことは「正社員に深入りしない事」だった。最初は何を言っているのかわからなかったが次第に理由がわかってきた。
正社員は執行猶予中、駆け落ちのパターンが多かった
過去に何か犯罪を起こし、執行猶予中でしかたなくパチンコ店で働いている人。彼らの用語で「弁当持ち」と言う。弁当とは執行猶予の事。どうりで見た目がイカつく怖い雰囲気の人が多いはずだ。
そして駆け落ち夫婦。籍を入れている人もいるが、入れていない人もいる。当時は履歴書の確認はあいまいで誰でも簡単にパチンコ店で正社員といて働くことが出来た。
お互いの過去を詮索しない人間関係
当時のパチンコ店は「住居と食事」が完備されており、最悪手ぶらでも翌日から人並みの生活ができた。ワンルームの個室、昼と夜の賄い付き、おまけに仕事終わりにはタバコがひと箱支給される。
そして、全員がワケありなのでお互い詮索しない人間関係も居心地のいい条件だった。
正社員が借金を申し込んできた
アルバイトをして3か月目、ある正社員が話しかけてきた。
正社員「君は独り暮らし?」
私は主任から言われた注意を忘れて、まともに答えてしまった。
私「1人暮らしで親から仕送りしてもらっています。」
正社員「じゃあ、お金余っているよね?貸してくれないかな?明日パチンコで勝つから倍にして返すよ」
正社員「とりあえず君の家に行って話そうか」
びっくりして怖くなりもちろん断りました。主任に報告すると彼は他のアルバイトからも借金しているらしい。
車を貸してくれという正社員
また違う正社員の人は車を貸してくれと言ってきた。免許はあるのかと聞くと「取り消しになっているけど事故しないから問題ない」と。もうめちゃくちゃである。
その人は他のアルバイトから車を借り、案の定事故を起こし逃走。次の日ぐちゃぐちゃになった車をパチンコ店の駐車場に放置したまま行方不明。車を貸したアルバイトは行先もつかめない、履歴書を見ても本名かどうかわからない正社員に賠償させる事もできずに泣き寝入り。
社会に適合できない人達の居場所は必要だった
パチンコ店で働いている人はろくでもない人ばかりだったが、彼らのような社会になじめない、そしてドロップアウトしてしまった人の居場所としてはありかもしれない。
誰もが「いつ犯罪者になるかもしれない」「いつ社会からはじかれるかもしれない」不安を抱いて生きている。明日は我が身かもしれない。もしそうなった時に「居場所」さえあれば救われると思う。