とにかく態度の悪いおっさん客がいた
私が大学生の時、アルバイトしていたパチンコ店にすこぶる態度の悪い客がいた。40代くらいでいつもサングラスをかけちょび髭を生やし無愛想なおっさん。近寄りがたいオーラを出して、大一の一発台『アニバーサリー』しか打たない。
そのシマを担当するのは本当に嫌だった。
禁止行為をするのは日常茶飯事
そのパチンコ客は店で決めているルールは当たり前のように守らない。
タバコの銀紙部分でハンドルからアースを取り手離し遊技。
2台以上の掛け持ち(自動手離し遊技)
クルーンに玉が入ると台を激しく揺らしてVゾーンに入れようとする
1回交換なのに玉を半分だけ残して再遊技
注意すると激しく怒鳴ってくる。社長はホール内で立っているが見て見ぬふり。しかし我々アルバイトにはマネージャーから注意しろと指令が下る。
「社長も知らん顔してるから、ほっといたらいいやん…」と思いながらしぶしぶ注意しに行きそのたびに怒鳴られる。ビビってるアルバイトが多い中、アルバイトの岩田だけは違っていた。
負けず嫌いなアルバイト『岩田』
その日は岩田がおっさんのいる「アニバーサリー」のコーナー担当だった。そのパチンコ店は大当たりすると玉箱を持って行くスタイルで元々台には玉箱は設置していない。
あっさんは相変わらず掛け持ち遊技、台をどつくなどやりたい放題していた。岩田が注意しに行くと
「うるさい!お前ぶっ飛ばすぞ!俺の事はほっとけや!」
といつものように怒鳴った。岩田は「分かりました。ほっときます」と引き下がった。数分後おっさんは大当たりした。箱がないので持って行かないといけないが岩田は完全無視。大当たりした台はどんどん玉を吐き出し上皿下皿が満タンに。それでも岩田は動かない。とうとう皿から玉があふれてきた。
おっさんもおっさんで玉があふれて床に散らばっていてもそのまま遊技。お互い動かない。
アニバーサリーのシマの床は玉だらけになった。見かねたマネージャーが玉箱を持って行き、床の玉を拾った。それを見ても岩田は動かなかった。
交換の時おっさんと岩田は一触即発
ジェットカウンター付近にいた岩田におっさんは近づき睨みつけた。顔と顔の距離は数センチ。おっさんが「お前、なんで箱持ってこないんや?」と怒鳴ると岩田は「お前がほっとけと言ったんだろうが!」と引かない。
これ以上続けるとどちらかが手を出しそうだったのでマネージャーが止めに入って事なきを得た。私は思った。
岩田君、肝がすわりすぎ!
おっさんも岩田の根性に感心したのか次の日からは仲良く話しかけるようになった。当時乱暴な客が多かったのにビビらず毅然とした態度を取ったパチンコ店員は岩田以外見たことがない。