ワケありな人たちが再起を図る場所
昔のパチンコ店員は『ガラが悪い』『うさんくさい』『素性が分からない』という悪いイメージがあるが、まさしくその通りだった。
若かった私は分からなかったが、今思うと彼らは彼らなりに生きるために一生懸命だった。
世間からドロップアウトしてしまう事は他人事ではない
人はみな、普通の家庭に育ち、いい大学を卒業して普通に就職する。普通はそういう人生を過ごせると思っている。しかし、長く生きているとその『普通』を続けることは難しい。
人間関係に悩まされ、自分の思った通りにならない現実に悩まされ、社会からドロップアウトしてしまう。自分に落ち度がなかったしても周りに冷や飯を食わされることもある。
そういう人たちは世間からは冷たい目で見られ、はじかれてしまう。昔のパチンコ店はそういう人たちの救いの場だったかもしれません。何が何でも生きるために、そして人生をやり直すために。
かけおちしてきた夫婦
その夫婦は30代前半。九州の方言を話すのでこの辺の人ではないのは分かった。話を聞くと奥さんはお金持ちのお嬢さんで旦那は元ヤクザ。奥さんの親に猛反対され勘当同然でパチンコ店にやってきた。
結婚とは周りに祝福される事が当たり前だと思っていた。しかし、全員がそうではない。親やまわりの人に祝福されなくても、勘当されてもも2人で生きていくという決心をした彼らをすごいと思った。当時の私は人の目を気にしてばかりだったから。
罪を犯し執行猶予中の人
暴力事件を起こし執行猶予中の28歳の男性。パチンコ店以外の仕事は全て断られた。トラブルを起こすような人はいらないのだろう。働く事が出来なければ、また犯罪を起こすしか生きる術が無くなる。
しかし、当時のパチンコ店は彼のような前科者も受け入れた。彼は感謝して一生懸命に働いていた。お客に理不尽な事を言われてもじっと耐えて仕事をした。
反省して社会に復帰しようと頑張っている姿をみて心を打たれました。
世の中に彼らを受け入れる場所が必要
パチンコ店なんてろくな人がいない仕事なんで、無くなった方がいいと言う人がいる。確かにパチンコ店がなくても世の中は回る。しかし考えて見ると
明日は我が身かもしれないのです。
今の普通の生活を一生送れると言う保証はありません。
そうなった時、受け入れてくれる場所がある事は再起を図れるチャンスがあるという事です。残念ながら今のパチンコ店は大卒しか採用しないという普通の企業になっています。ワケありの人が再起を図れる場所が無くなってしまいました。
今の時代、1度でも失敗すると世間からドロップアウトしてしまうので再起する事はかなり難しいです。チャレンジしようと思ってもリスクが大きいのでやりにくい時代ですね。
パチンコ店に限らず失敗した人が再起を図れる場所は必ず必要だと思います。